Gan-wu

JOURNEY

岩宇の魅力や情報を日々発信します

札幌から約2時間(100km)、ニセコから約40分(35km)、美しい青の海岸線が広がる積丹半島の西側にある北海道泊村が、私のふるさとだ。

町の人口は約1,500人、基幹産業は漁業で、古くは鰊(にしん)の千石場所として知られ、今も豊かな自然に囲まれた漁村である。

町には、観光の方が多く訪れる「鰊御殿とまり」や、1年中アイススケートや長靴ホッケーを楽しむことができるアイススケート場「泊村アイスセンター『とまリンク』」、パークゴルフなどを楽しむことができる「とまりカブトラインパーク」などの素敵な観光スポットもあるが、今回私が紹介したいのは、「海岸散歩のススメ」である。

 

海岸散歩のススメ

「季節によって表情を変える海の景色」

こちらの写真は、泊村の渋井(しぶい)という地域の海岸線から、釣り場所として有名なカブト岬の方向を映した1枚だ。(撮影は筆者) 長い冬が終わって、暖かい春の訪れを迎える例年3月頃、季節で言うと春先、穏やかな天候の時は、海面がまるで鏡のようになり、雲や夕陽の灯りが反射して、幻想的な景色となる。地元民からすれば、日常の何気ない一コマではあるが、ふと足をとめてしばしその景色を眺めてみると、目の前の景色の美しさに、心が動く。

 

「鰊場(にしんば)の歴史を今に伝える風景」

積丹半島や日本海側をドライブする方にとっては、ご存知の方も多いかもしれないが、これらのエリアはかつてニシン漁で栄えた(明治30(1897)年には、国内ニシンの漁獲量97万トンで最高記録)。特に私の住む泊村とお隣の神恵内村は、豊かな漁場であった。海岸線をよく見ると、今もその名残を見ることができる。地元の人が「切澗(きりま)」「船入れ澗(ふないれま)」「えんかま」などと呼ぶ、海岸沿いで一時的に漁獲したニシンを貯蔵していた石垣で囲まれた空間を目にすることができる。時代とともに、消波ブロックの設置が進み、それらの景色が見えなくなった場所も多いが、ぜひ、海岸散歩をする時は、そんなことも頭の片隅に置きながら、海を眺めてみて欲しい。

 

「写真を撮り始めたきっかけ」

写真を撮るようになったのは、ここ数年である。元々のきっかけは、泊村を紹介するHPを制作するという話が出た時に、フォトコンテストの企画を行った。フォトコンテストを企画するからには、まず自分自身が様々な美しい風景を集めてみようと思い、海岸線を散歩している時に、写真を撮り始めたのがきっかけだ。以来、季節によってかもめの数が変わるということに気づいたり、自然が生み出すうねり模様の起伏が美しい砂紋など、目の前にある何気ない日常の風景の美しさを再認識することができた。

 

岩宇地域には、美味しい海産物や、農産物、美しい自然、心休まる温泉など、様々な魅力がある。そんな中で少し、地域に滞在して、時にゆっくりと「海岸散歩」をしてみることを、地元民が感じる日常の豊かさのおすそ分けとして、この記事を読んでくれているあなたに提案してみたい。

※漁師さんの仕事場になっているので、気を付けて歩いて欲しい。

●この記事を書いてくれた方:渋井の風景ラバーさん
海岸線から眺める季節ごとの風景に魅了され、写真を撮り始めました。