Gan-wu

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岩宇の魅力や情報を日々発信します

神恵内村は積丹半島の西側に位置し、人口800人が暮らす小さな漁村です。日本海を縁取るように国道229号線が通り、背後に迫る山々、そのわずかな平地に民家が建ち並びます。札幌から2時間半程で来れるため、積丹半島周遊のドライブコースとして人気があり、海鮮グルメを求めて来られる方も多数いらっしゃいます。
 
私は神恵内村で生まれ育ち、手を伸ばせば感じられる大自然と、豊かな食に支えられて大きくなりました。子供の頃は積丹町との国道が開通していなかったため神恵内が行き止まりの村で「ここまで来たら泊まろう!」という方が多かったのか、たくさんの人でキャンプ場や砂浜は賑わっていました。そんな賑やかな村を見て育った私達夫婦は、もっと色んな方に神恵内を知ってもらい来てもらいたい、との思いから、結婚と同時に民宿を開業する事にしました。
 
色んなお客様がいらっしゃいますが、どなたも窓から見える景色を見て感動して下さいます。以前、私の生活では、ゆっくり空を見上げる余裕がほとんどありませんでした…と教えてくれたお客様がいました。夕日が何時に沈むのかも気にしたことはない…。そのお話に衝撃を受けた事があります。私とは真逆だからです。

私にとっては子供の頃から当たり前にある景色。当たり前すぎてその貴重さに気がついたのは最近かもしれません。山の木、草に花、神恵内で目に入る一つ一つには小さくても命があります。ここはたくさんの命の集合体です。景色を見てるだけで元気が出て、心のリフレッシュが出来るのは、様々な命からパワーをもらっているからではないかなと思います。


同じ時代の同じ瞬間を生きているにもかかわらず、都会の時間の過ぎ方と、田舎の時間の過ぎ方では全然違うなぁと思う事があります。私も、子育てと仕事で心と時間に余裕のない生活が続くと、イライラしたり八つ当たりしたりしてしまいますが、ずっと広がる日本海を見たり夕陽を見ると、自然に生かされる自分は小さいなぁと冷静になれる瞬間があります。


皆さんも日常に疲れたなと思ったら、ぜひ心の洗濯をしに神恵内にいらして下さい。美味しい海の幸でお腹をいっぱいにして、綺麗な景色で心をいっぱいにしてください。何もせずぼんやり過ごす、お金では買えない1番の贅沢を得る事が出来ると思います。

●この記事を書いてくれた方:神恵内村のとある宿のおかみ