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神恵内村を振り返る

北海道の積丹半島西部にある小さな村、「神恵内(かもえない)」。1594年(文禄3年)に和人がニシン漁を行っており、江戸時代後期から昭和戦前期にいたるまでニシン漁はこの村の基幹産業でした。聞くと可愛らしい響きのこの村名、由来を辿るとアイヌ語で名づけられておりかつては「カムイナイ」と呼ばれていました。この「カムイナイ」の意味は「美しい神(カムイ)の沢(ナイ)」からきたものですが「地形が険しく、人が近づきがたい神秘な沢」をさしています。1906年(明治39年)に二級町村制が施行され、今の神恵内村になりました。

神恵内村の地域にふれる

いくつかのトンネルをくぐり海岸沿いの道を走り抜けると、北海道を代表する美しいコバルトブルーが一面に広がる神恵内村へとたどり着きます。神恵内村の人口は、現在800人余りと北海道内では2番目に人口が少ない町村ですが、ここに宿る魅力とパワーは絶大。北海道の日本海側に沈むオレンジ色の夕日と、小さい村でも決して妥協を許さない本物志向の村人たちこそが、この村の魅力です。

なかでも、新鮮な魚介類を使ったお寿司屋さんの勝栄鮨は、岩宇人自慢のお店の一つ。北海道外からこのお寿司を食べに来るお客さんが後を絶たず、近年では海外セレブもお忍びで足を運んだ有名店です。近年は村の生活を支える商店「岡田商店」の店主であり、海苔打ち職人の若きホープ岡田さんが神恵内に伝わる伝統的な手法で手間暇かけて作る「神海苔~極~きわみ」は、発売すると同時に問い合わせ続出のまさに「神商品」。火で少しだけ炙って磯の香りを感じながら食べても良し、贅沢に海苔弁にしても良し、楽しみ方は人それぞれ。北海道の夏を満喫するべく各地からたくさんのバイカーや積丹ブルーを眺めにやってくる観光客が多く、道の駅「オスコイ!かもえない」には地元の漁師さんたちが獲ってきたホッケを使った岩宇ならではの特産品「ホッケバーガー」も大人気商品です。

神恵内村の魅力

村を歩くと至る所で見かけるのは、村のマスコットキャラクター「どらごん太」。実は龍と神恵内は深い関係があり、当丸沼という沼に住む竜神様が、竜神岬から昇天したという伝説は今もなお神恵内で言い伝えられています。伝説以外にも代々伝承されている遊びの一つが、「宝引き(ほうびき)」というもの。これは用意された紐のうち数本の紐の先端にだけ玉(宝)が結び付けられ、クジ引きのように宝のついた紐を引き当てるものですが、その歴史はニシン漁が盛んだった頃にまで遡ります。当時は沖で作業する班と陸で作業をする班に分かれて作業が行われていましたが、沖班が戻ってくるまでの間、陸班が漁に使われる縄で始めたことがこの宝引きのキッカケというのが有力な説です。

日本海に面している神恵内村は、四季問わずサーフィンにやってくる観光客も多く、特に夏には北海道のあちこちから波を求めてサーファーたちがやってきます。泊村から抜けてくる道沿いに砂地になっている湾は、知る人ぞ知る観光スポット。現在、神恵内村にある唯一の喫茶店「泊まれる喫茶ふくろま」は地元の人と観光客を繋ぐ憩いの場であり、オーナーである木滑さんが淹れるコーヒーは味わい深く人気の一品です。

神恵内村の観光を考える

数々の伝説や手付かずの自然が今もなお人々の心を魅了し続けている、神恵内村。自然が長い時間をかけ、岩にぽっかりと穴を開けたことで名付けられた「窓岩」や、船でしか行けず「秘境」と称されるシシャモナイの滝や西の河原など、北海道内外からやってくる観光客たちが思わず動きを止め、カメラを構えたくなる場所があちこちにあります。

人口はたった、800人前後。だけれども、この神恵内に訪れるとそこに宿るパワーの大きさは、単なる規模や数字では表せられないことが分かります。どこまでも続く青い海と、ピンクやオレンジに染まる日本海に沈む夕日はここに訪れる人すべての人の心を優しく溶かし、「どっから来たの?気をつけて帰んなね」と声をかけてくれる人のあたたかさは、素朴な暮らしの中にある確かな豊かさを教えてくれるよう。第二の故郷を見つけに、神恵内に来てみませんか。